断熱リノベ実態レポート | Vol.07

香川かづあきさん

リノベ団地の住人

香川かづあきさん

断熱リノベ団地に引っ越して、静かで適温な快適ライフを実現。

昨今の住宅価格高騰も受け、中古住宅リノベーションへの関心が高まるばかりです。なかでも昭和期に建てられ、手が届きやすい価格帯となっている団地に注目する人がじわじわと増えています。半世紀以上前に建てられただけに無断熱が当たり前でしたが、断熱リノベーションをすることで驚くほど快適な住環境が実現します。神戸市垂水区の明舞団地でそんな断熱性能を実体験している香川かづあきさんにお話を聞きました。

断熱施工とおしゃれなデザインの内装工事が施された狩口台住宅の室内

断熱リノベ団地に感動して即決購入しました。

幼少期に団地住まいを経験している私は、終活について考え始めた50代に「また団地に住みたいな」と思い立って明舞団地に引っ越してきました。明舞団地はJR朝霧駅やスーパー、さらにうれしいことに大蔵海岸までもが徒歩圏内。高台にあるため駅と団地を往復する公共バスが数分間隔で走り、電動キックボードの貸出返却スペースまで設置されています。こういった住環境のよさと管理が行き届くコンパクトな生活を楽しんではいましたが、冬になると室内外の気温差から窓が結露でびしょ濡れになったりふすまにカビが生えたりするのがつらく、「断熱」を重視して他の物件を探していました。そして幸運にも同じ明舞団地内で断熱リノベされたこの住宅を見つけ、現地を見て即決で購入しました。

壁と窓の内断熱加工で夏涼しく、冬は温か

室温の見える化で断熱効果を実感しています。

この住まいはリノベ時に断熱性能も向上させた、断熱等級4の省エネ住宅です。旧来の壁に発泡ウレタンフォームという断熱材を吹き付け、その内側に新しい壁が設けられています。窓はもともと大規模修繕でペアガラスのサッシに更新されているところに、さらにペアガラスの内窓を設置しているので、ガラスが計4枚入っている構造です。わが家は内窓の外と内に一つずつ温度計を置き、断熱効果が一目で実感できるようにしています。今日は2つの温度計の差が5度ほどですが、10度近い日も。断熱対策をすると、外気温の影響を受けにくくなって家全体が適温に保たれます。部屋間の移動も苦になりませんし、血圧も安定して体への負担も軽減できます。

ペアサッシのそれぞれに取り付けた温度計。11月のある日、内窓(21度)と外窓(16度)の気温差は5度だった。

電気代削減、遮音性、睡眠の質向上…断熱のメリットはいろいろ。

さらに冷暖房の使用時間を減らせて、電気代の節約にもつながります。2025年3月に住み始め、最初の夏はエアコンをそれほど使用しませんでした。就寝前に2時間ほど除湿運転をしただけで、夜通し適温のまま。目覚めたときに「エアコン切り忘れたかな?」と思うぐらい涼しい朝もありました。断熱効果は冬のヒートショック対策に有効という話はよく聞いていましたが、夏の熱中症対策にもずいぶん効果があると思います。
よく光熱費が以前の住まいからどれぐらい削減されたか聞かれるのですが、以前から家電をほとんど使わない生活で電気代が月500円程度のままなので、わが家の光熱費は一般のご家庭の参考にはならないようです(笑)。参考までに、日本サステナブル建築協会の「住宅の省エネルギー基準」という資料に、断熱等級4は無断熱と比べて年間約8万円の冷暖房費削減につながるとありました。二重サッシは断熱だけでなく、遮音効果が高いのもよかったところです。屋外の音がほとんど聞こえないので、雨が降ったり雷が鳴ったりしたことにも気付かなかったほどの静かさです。ここに住むようになってから、夜中の寒暖差が小さいだけでなく屋外の音で目が覚めることもないので、睡眠の質が向上しました。

複層ガラスの二重サッシ構造。断熱だけでなく遮音効果にも優れている

見えない価値こそが、団地ライフを豊かにします。

北海道出身の私は、断熱性能の高い屋内で冬に半袖を着てアイスクリームを食べる生活を幼少のころ送っていました。父が転勤族だったためその後国内のいろいろな都市に住みましたが、西日本はそこそこ冬が寒いのに無断熱の家が多いという印象を持っていました。断熱って目に見えない価値だから、見える価値よりもおろそかにされがち。だから予算との兼ね合いで、200万円前後の断熱加工をリノベ費用から削る施主さんが多いと工務店さんから聞きましたが、私は断熱が「ない」団地から「ある」団地に越してきた一人としてマストとお薦めしたいです。うちはリノベ済み物件を購入しましたが、自らリノベを依頼する場合は、内装と断熱の工事をぜひご一緒に。後から「やっぱり断熱を」と思うと、壁の工事のやり直しで料金が割高になってしまうそうです。ちなみにわが家は4階なので床からの冷気は感じませんが、1階であれば床断熱も検討した方がいいかもしれませんね。無断熱で密閉性の低いサッシ窓が使われていることから、底冷えや窓の結露、押し入れのカビなどは団地住まいと切り離せない問題と長らく思われてきました。しかし時代とともに団地の概念と実情が変化を遂げています。一人でも多くの人に、リノベーションでストレスフリーな快適団地ライフを楽しんでほしいですね。

冷暖房器具も最低限のものしか置いていない