住宅の断熱性能を高めると、家の中の部屋間の温度差が小さくなり、健康リスクを減らす効果や、光熱費の削減といったうれしい効果が得られます。
さらに、給湯器の交換をはじめとした浴室まわりの改善もあわせて行うことで、近年社会問題となっているヒートショック対策をはじめ、毎日のお風呂を安全・快適に入ることができます。今回は神戸に本社を置くノーリツ明石本社工場を訪問し、安全で快適なお風呂の入り方などについて伹馬さんと末重さんにお聞きしました。
創業から一貫する「お風呂は人を幸せにする」の理念
ノーリツのガス給湯器を生産している明石本社工場では、これまでに開発された製品の展示や会社の歴史を紹介しています。創業者の太田敏郎が海軍兵学校時代の厳しい訓練後の入浴で心を癒した経験から「お風呂を通じて日本の生活水準を向上させたい」と戦後復興期の1951年に興しました。本社工場入ってすぐ、頭上に大きく掲げるメッセージボード「お風呂は人を幸せにする」は創業から一貫している理念です。近年は冬場の入浴関連事故が多く発生していることから、お風呂の事故で悲しい思いをする人を1人でも減らしたいと考えています。
ヒートショックなどの入浴関連事故で亡くなる人は交通事故死亡者の約3倍
ヒートショックとは急激な温度変化に伴う血圧の急変動によって起こる健康被害のことを言います。暖かい部屋から寒い脱衣所・浴室に移った後、浴槽に入って体が温まる。こういった寒暖差で血圧が急激に上下することで、心臓や血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞、失神などを引き起こす危険性が増します。厚生労働省によると、2024年の浴槽内での溺死等による死亡者数は7776人で、交通事故で亡くなった2663人の約3倍。高齢者は血圧が変動しやすく、特に注意が必要です。また、ヒートショック対策としては温度差をなくすことが重要です。断熱リノベ済みでも冬場の浴室や脱衣所は、暖房器具があるリビングと比べると寒くなりがちですよね。浴室暖房乾燥機の設置は効果的で、タイル張りの在来浴室にも設置できますし、浴室まわりの断熱リノベと組み合わせることで省エネにつながります。まずは温風が出る小型暖房機などで事前に脱衣所を暖める、浴槽のふたを開けたままお湯はりをするなどして浴室内を温めるなどの対策も有効です。
年齢に関係なく起こる「浴室内熱中症」にも注意が必要
入浴時間が長くならないようにするのも重要です。長湯や高温での入浴により血圧が低下して起きる「浴室内熱中症」は年齢関係なく若い世代でも起こり、立ちくらみや転倒事故、溺死につながります。最近はお風呂にスマホやタブレットを持ち込んで動画や音楽を楽しむ方が多いので、注意が必要ですよね。ヒートショック、浴室内熱中症の対策方法はほかにも
- お湯の温度は41度以下、浸かる時間は10分程度を目安に(体調に合わせて時間を調整し、入浴タイマーを使うと安心)
- 入浴の際は心臓から遠い手足などに掛け湯をしてお湯の温度に体を慣れさせる
- 入浴前後にコップ1杯の水分を取る
- 湯船から出るときは手すりなどを使ってゆっくり立ち上がる
などがあります。
オール電化なら「エコキュート」、お湯をたっぷり使う家庭は「ハイブリッド給湯機」
給湯器の法定耐用年数は6年で、実際の寿命は10~15年程度。従来型のガス給湯器の買い替えを予定されているなら高効率タイプを検討してはいかがでしょう。現在の給湯器は大きく5種類に分かれており、中でも省エネ効果が高く環境にも優しいのが「エコキュート」と「ハイブリッド給湯機」です。電気を利用する「エコキュート」はオール電化住宅と好相性で、料金が安い夜間電力を利用するため経済性に優れています。ガスと電気の“いいとこ取り”をした「ハイブリッド給湯機」は、瞬時に大量のお湯がつくれるのでお湯の使用量が多い家庭にお薦めです。2種ともに初期費用の目安は約70万円と従来型のガス給湯器に比べて割高ではありますが、ランニングコストでは高い節約効果が期待できます。また「給湯省エネ2026事業」「みらいエコ住宅2026事業」といった補助金制度を利用すれば、エコキュートが最大10万、ハイブリッド給湯機が最大12万の補助が受けられます。
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給湯器の 種類 |
給湯機 |
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エネファーム |
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仕組みの |
ヒートポンプユニットとガス温水機器を組み合わせたもの |
一般的な給湯器 |
潜熱回収型ガス給湯器 |
家庭用ヒートポンプ式給湯器 |
家庭用燃料電池コージェネレーションシステム |
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動力 |
ガス+電気 |
都市ガスまたはLPガス |
都市ガスまたはLPガス |
動力: 電気(ヒートポンプ) |
都市ガスまたはLPガス |
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メリット |
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デメリット |
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【参考】 |
約70万円〜 |
約20万円〜 |
約40万円〜 |
約70万円〜 |
約100万円〜 |
- 「エコジョーズ」は東京ガス株式会社の登録商標です。
- 「エコキュート」は関西電力株式会社の登録商標です。
- 「エネファーム」は、東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社、ENEOS株式会社の登録商標です。
30年前からヒートショック対策に取り組む
ノーリツでは、浴室暖房乾燥機による温度のバリアフリー化をはじめ、入浴事故に配慮した“おふろの見まもり機能”を搭載した製品を通じ、ヒートショック対策とリスク軽減に向けた啓発を続けてきました。これからも皆さまにとって毎日のお風呂が楽しくリラックスできる時間になるよう、さまざまな角度から取り組みを進めていきます。